- 外交ボイコットは良い!
- 外交ボイコットは悪い!
2022年2月4日開催予定の北京五輪。
長引くコロナ禍で先行きが見えず、ただでさえピリピリしたムードの中の開催となりますが、それに加えてアメリカが明らかにした「外交ボイコット」の意向。
そもそも「外交ボイコット」とは何でしょうか?
そして何故アメリカが中国に対してそんな態度を示すのでしょうか?
今回はそんなオリンピックの「外交ボイコット」についてまとめてみました!
アメリカ側の主張「ウイグル人権問題」
「外交ボイコット」とは、欧米諸国を中心とした多くのメディアで「選手は競技に参加し、政府高官の使節団を派遣しないこと」としています。
始まりは2021年4月です。
アメリカ国務省の報道官が会見で「我々は一貫してウイグルでの虐殺など、中国政府による深刻な人権侵害への懸念を指摘してきた」と発言しました。
続いて同国民主党のペロシ下院議長が「ジェノサイドが起きている中で各国の首脳が中国に行けば、人権問題について語る道徳的権威があるのか、疑問を投げかけられる」として「外交ボイコット」を提案。
これが「外交ボイコット」が話題に出始めたきっかけです。
同年6月には、この「提案」に対してブリンケン国務長官も「北京オリンピックに対する共通のアプローチ」と表現しつつ、「外交ボイコット」について議会で証言しました。
ここまでアメリカ政府が主張してきた、ウイグルでの虐殺ですが、中国はこれを否定。
現地に広がる収容施設は、あくまでもウイグル族などのイスラム教徒に対する「再教育」が目的だとしています。
また、香港で政治的自由や民主化デモが弾圧されたり、中国高官に性的暴行を受けたと告発したテニス選手の彭帥さんの安否が未だ不明であることも、欧米諸国との関係悪化に繋がっています。
日本は政府代表団を送らない決断をした
2021年6月以降、英国・オーストラリア・カナダと次々とアメリカの「外交ボイコット」に賛同。
最近、台湾代表処(大使館のようなものです)開設問題で中国と外交関係が悪化したリトアニアもボイコットに賛同しました。
ただ、ニュージーランドはこういったアメリカの動きに先立って「新型コロナ拡大懸念」を理由にボイコットを宣言しました。
また、日本も2021年12月24日政府代表団を送らない決断をしました。ですが、これを「外交ボイコット」と表現しないと表明しています。
これは中国に対する配慮がありつつも、人権問題を無視しないという姿勢の表れとも言えます。
日本の決断に、代表的な中国メディアの支局長は「中国の東京五輪でのサポートを考えない恩知らず」とツイッターで批判したそう。
これらの動きにアメリカメディアのザ・ヒルは12月26日に「バイデン政権の外交ボイコットは一部の同盟国・友好国だけが賛同する『制限的成功』の兆候を見せている」と伝えました。
日本ですら、ささやかながらも態度の硬化が見られる今回の北京オリンピック。
オリンピック憲章の観点からも中国国内の人権問題が進展しない限り、「外交ボイコット」をすべきと言えます。
2022年2月4日開催予定の北京五輪。
長引くコロナ禍で先行きが見えず、ただでさえピリピリしたムードの中の開催となりますが、それに加えてアメリカが明らかにした「外交ボイコット」の意向。
そもそも「外交ボイコット」とは何でしょうか?
そして何故アメリカが中国に対してそんな態度を示すのでしょうか?
今回はそんなオリンピックの「外交ボイコット」についてまとめてみました!
中国側の主張「スポーツを政治問題化している」
オリンピック憲章第5章にある50条「広告、デモンストレーション、プロパガンダ」にはこのように記載があります。
「スポーツ」と「政治」の問題は、紀元後393年に遡ります。すでに衰退しつつあった古代オリンピックをテオドシウスは廃止した出来事がありました。
この出来事で政治がスポーツに介入することの是非が問われ、「スポーツと政治は切り離すべき」という思想の基盤、ひいては中国の主張する「オリンピックを政治利用すべきではない」の元となっています。
例え、中国内部に様々な問題があったとしても、それはオリンピック開催とは何ら関係のないことで、アメリカのやっている「外交ボイコット」は政治的介入だと言っているわけですね。
ちなみに「外交ボイコット」とは、欧米諸国を中心とした多くのメディアで「選手は競技に参加し、政府高官の使節団を派遣しないこと」としている政治的態度のことです。
確かに中国側の主張を受け取るなら、アメリカの態度は「政治利用」に当たるかもしれません。
日本は自身の決断を「外交ボイコット」とはしないと表明した
事実、アメリカのデモンストレーションの派手さは増す一方です。
意義を疑問視されていた「民主主義サミット」を先導し(あまり盛り上がりませんでしたが)、中国に対する態度があからさまで従わざるを得ない国もあるでしょう。
日本もその一か国です。2021年12月24日アメリカに配慮し、政府代表団を送らない決断をしました。ですが、その一方でこの決断を「外交的ボイコット」と表現しないと表明しています。
また、フランスや韓国など一部の同盟国はアメリカ主導のボイコットに同調していないとしています。
2026年トリノ冬季五輪開催国のイタリアは早くから「北京五輪ボイコットには賛同しない」という立場でした。
ノルウェーは感染症に関わる条件が満たされることを前提とした上で「北京五輪・パラリンピックに共に参加する計画」と明らかにしました。しかも「ボイコットを国家間の相互理解を増進する効果的な手段と見ていない」と付け加えて。
複数の国による外交ボイコット表明を受け、ロシアは「ボイコットを表明している国は自身の国のアスリートにも害を及ぼしている」とも言っています。(もちろんロシアはボイコット反対です!)
人権問題以外にも多くの問題を抱えている中国ではありますが、だからといって欧米諸国が「外交ボイコット」をする大義名分になるのでしょうか。
欧米諸国の思惑を汲むのであれば(一国に介入するのが良いか悪いかは別の議題として)、オリンピックを政治的手札として利用せず、堂々と問題に介入する場を設けるのが理想だと考えられます。
そういった意味では「外交ボイコット」はすべきでないのかもしれません。
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