- 悪いのはタリバン
- 悪いのはアメリカ
2021年8月末、アフガニスタンから米軍が撤退しました。
この撤退をもって20年もの長きに渡った、アメリカとのアフガニスタン紛争は一端の終息となります。
今回はこのアフガニスタン問題について見ていきましょう。
始まりは「学生」たち
パキスタンにいたイスラム原理主義の集団は、難民キャンプに神学校を作り、まっさらな子供たちに極端なイスラム原理主義を教え込んでいました。
パキスタン軍はこの学生たちに目をつけました。アフガニスタンへ輸送されていた兵器(アメリカからの支援品です)を途中で抜き取り、学生に与え、兵士としたのです。
実は「学生」の複数形はアラビア語で「タリバン」と言います。
当時の政権の横暴や内戦で混乱していたアフガニスタンに、パキスタン軍の支援を受けた「タリバン」が武器を持って入り込みました。
こうしてアフガニスタンは過激派組織タリバンが支配する国になってしまいました。
現在も悲しみが癒えないグラウンドゼロ
そして、2001年9月11日。当時のニューヨークでそれは起きました。
ワールドトレードセンターのツインタワーにそれぞれ飛行機が突っ込んだのです。
さらにペンタゴン、ペンシルバニアで飛行機が墜落しました。全4回行われたアメリカ同時多発テロは20年経った今でも鮮明に思い出せるほど、衝撃が大きい事件でした。
これを起こしたのがオサマ・ビンラディン率いるアルカイダという組織です。
アメリカはビンラディン容疑者の引き渡しを要求しましたが、タリバン政府は拒否しました。
一体何故拒否をしたのでしょうか。
決して公にはなっていませんが、1990年代にバイア(イスラム教で双方の義務を伴う忠誠の誓い。破ると重罪となる。)でアルカイダとタリバンは繋がっていると言われており、これが拒否の理由と思われます。
当時のアメリカ大統領ジョージ・ブッシュは「これらの行為をしたテロリストだけでなく、彼らをかくまう者たちをわれわれは区別しない」として攻撃を仕掛け、2021年8月末まで続く長いアフガニスタン紛争が始まることになりました。
同時多発テロでの犠牲者はテロ当日だけでも約3000人に及びます。
そもそもの悲しみの発端はアルカイダ、もといタリバン政府という見方も出来るでしょう。
2021年8月末、アフガニスタンから米軍が撤退しました。
この撤退をもって20年もの長きに渡った、アメリカとのアフガニスタン紛争は一端の終息となります。
今回はこのアフガニスタン問題について見ていきましょう。
米ソ冷戦「代理戦争」の一つ
始まりは1978年、アフガニスタンの国王に対するクーデターをきっかけに、次々にクーデターが起きたことで国内のイスラム勢力の活動が活発化したことに遡ります。
現在のアフガニスタンの北側は元々ソ連の一部で、隣国の状況が心配になったソ連は、1979年軍事介入をし始めました。
本来は平和なイスラム教の国だったアフガニスタンが、内から外から大混乱に巻き込まれていきます。
宗教を否定する立場をとっていたソ連に対し、イスラム教徒は戦いました。ここに目を付けたのがアメリカでした。
ベトナム戦争の意趣返しと、大量の資金と武器を与えます。
ベトナム戦争中、アメリカ軍はソ連の支援を受けた南ベトナム民族解放戦線のおかげでベトナムから追い出されています。今度はその逆で、ソ連をアフガニスタンから追い出そうとしたわけです。
ベトナム戦争も、このアフガニスタン紛争も、米ソ冷戦の「代理戦争」と言われるのはこのためです。
タリバンの始まりはアメリカの兵器
建前上、アメリカ同時多発テロがアフガニスタン攻撃のきっかけとされていますが、その前から火種はあったのです。
そこから20年続くアフガニスタン紛争。多くの人命が失われました。
2016年トランプ政権が公約した、米軍のアフガニスタン撤退が、2021年バイデン政権にまで引き継がれ、同年8月末をもって達成されました。
これは事実上のアメリカの敗戦と言えます。長期にわたって資金と多くのアメリカ人兵士を費やすメリットが見いだせなくなったわけですが、アメリカが結局アフガニスタンを見捨てたという意見もあります。
確かにタリバン政府のしたことは凄惨です。
ですが、そもそもタリバンが武力を持ったのは、アメリカがアフガニスタンに与えた武器が原因なのです。
そしてその武器は、パキスタンにも、ましてやアフガニスタンにも、本来関係なかったはずの冷戦がきっかけになっています。
出典:ナショナルジオグラフィック1985年6月号
こういった側面から、アメリカが悲しみの発端であるとも言えるのかもしれません。
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