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教科書検定は、あるべきか、廃止すべきか。

  • 2021年12月21日
  • 2021年12月21日
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新しい教科書が発行される度に話題になる、「教科書検定制度」。民間各社が執筆した教科書を文部科学省が検定し、合格したもののみが各都道府県の教育委員会を通して子どもたちの手に渡る。

この制度のメリットはいくつかある。

一つ目に、教育水準の維持向上である。様々な出版社が自社の方針のもと思うままに教科書を執筆していたら、様々な内容の教科書が乱立することになってしまう。

質の高いものから低いものまで玉石混交となってしまい、その中から教育委員会が質の高いものだけを選び出せればいいのだが一歩間違えるとその地域の子どもたちのに多大な悪影響を与えることになってしまう。

この点文部科学省の検定があれば、最低限の水準は確保でき、また文部科学省からの加筆・修正の指示によって水準の向上も見込める。

二つ目に、教育の機会均等の保障である。日本国憲法第26条、教育基本法第3条・4条にあるように、教育の機会はあらゆる理由によっても差別されることはなく、能力に応じて等しく保証されるべきである。学校教育は格差を是正するものではあっても、助長するものであってはならない。

そんな学校での教育活動の中心に置かれる教科書の内容に各地域で格差があってはならない。その格差がそのまま教育格差となって罪のない子どもたちに降りかかることになる。

この教科書検定制度がないと、教科書の価格の問題や旧態依然とした教科書採択の方法など様々な理由から各地域によって教科書格差が生まれ、それがそのまま教育機会の格差につながってしまう。

しかし文部科学省の教科書検定制度があればそのような教科書格差による教育格差は起こり得ず、日本中の子供たちに均等な教育機会を提供できるのである

この文部科学省による教科書検定制度のデメリットはいくつかある。

一つ目に、国として検定を行っている以上外交問題が常に絡んでくることである。

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新しい教科書が作られるたびに、「竹島問題の扱いが…」「慰安婦問題について…」「太平洋戦争の終結に原子爆弾が…」などと話題になり、多くは海外のメディアでも取り上げられて、国内外からの批判の対象となることもある。

これらの問題には様々な歴史と解釈がある。それを子どもたちに分かる言葉でかつ教科書のページの一部のみを使って解説することは非常に難しい。

ただでさえ難しいのに、そこに「国」としての責任まで負ってしまうと、国内のみならず他国の目も当然厳しくなってしまうのだ。

これがいち出版社の責任のもと書かれた教科書であるなら、「そういう意見もあるよね」と飲み込まざるを得ないのである。

もちろん自国の意思にそぐわない内容を書かれた国からの反発はそれでもあるのかもしれない。それでも国が責任を持って検定した場合よりもいくらか穏やかであろう。

また、検定の基準が子どもたちにとっての分かりやすさではなく、自国や自国の歴史を肯定するものであるか、になってしまう傾向も問題である。

例えば以前、第二次世界大戦中の沖縄戦でガマと呼ばれる洞窟の中で、多数の住民が自分の意思で死を選ぶ「集団自決」を行ったという記述の教科書が採用された。

しかし、あるガマでは81人の住民の中の47人が15歳以下、そのうち26人は9歳以下だったという。

そのような幼児や子どもたちが自分の意思で自決、それも集団自決するものだろうか。そこには日本軍の強制があったと見るのが自然だろう。

しかし当然、「集団強制死」の記述であれば、合格しない。当時の日本軍の犯罪性を少しでも軽くしようという意図が透ける。

このように子どもにとっての分かりやすさではなく、自国の歴史を肯定しているかどうかで合否が決まってしまうようでは、適切な検定が行われているとはいえない。

以上の理由から、教科書検定制度は廃止されるべきなのである

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