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感動ポルノ?障がい者の番組を作るのは良いVS悪い



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出典:unsplash.com

障がい者の番組を作る良い点は、「知るきっかけになる」ことです。

毎年8月下旬ごろに放送される「24時間テレビ」は、たびたびネット上で「感動ポルノ(※)」だと批判されます。番組内では障がいというハンディキャップのある方が、なにかを成し遂げるさまを感動的に描いています。演出のわざとらしさや、視聴者を感動させようとする態度が透けてみえるようで、感動ポルノだと批判されるのです。

(※「感動ポルノ」=障がいを持った方が一生懸命に何かを乗り越える姿が描かれること)

しかし例え感動ポルノであったとしても、人々の心を揺さぶっているのは確かかもしれません。「公益社団法人24時間テレビチャリティー委員会」が2021年10月19日に公開した活動報告記事では、同年に放送された「24時間テレビ44」の寄付金総額が8億8,621万4,435円(※)だったと公開されています。多額の寄付金が集まったのは、分かりやすい感動ストーリーに多くの人々が胸を打たれたからとも考えられるでしょう。

(※公益社団法人24時間テレビチャリティー委員会 活動報告 2021年10月19日公開 https://www.24hourtv.or.jp/activities/articles/24htcc5z80oi9ds9ovfo1z.html

さらに24時間テレビという多くの方が視聴する番組内で、障がいについて触れるということは、視聴者である人々の理解を深めるきっかけにもなります。テレビは老若男女誰しもが見るもの。絶大な影響力があります。わざとらしく感動的なBGMやテロップなどの演出が必要かはさておき、「障がい者=かわいそう」というレッテルをはがすためにも、障がい者の番組を作るのは良いことだといえます。

障がい者の番組を作る上での悪い点は、「人々に偏ったイメージを定着させる」ことです。

障がい者を扱う番組の多くは、「頑張る障がい者」を描きます。24時間テレビでは、下半身付随の子どもが富士山に登ったり、全盲の方が遠泳したりしました。ほかにも障がいをモチーフにした映画やドラマなどもたくさんあります。大抵描かれているのは、障がいのつらさや家族の苦労、そこから発生する感動ストーリー。この流れが鉄板になっているでしょう。

テレビという影響力の強い媒体において、「前向きに頑張る障がい者」「苦労をしている障がい者」という描かれ方をしていると、多くの人が偏ったイメージを持つことが考えられます。「障がい=かわいそうなこと」と間違った認識をしてしまうかもしれません。

テレビは今や一家に一台といわず、二台、三台と普及しています。それほど多くの方が見るものです。特に24時間テレビは、夏休み中の子どもたちの目にも触れるでしょう。「感動ポルノ」のような番組の影響で、多くの方に「前向きに頑張る障がい者」や「障がい者=かわいそう」といったレッテルが貼られてしまうのであれば、障がい者の番組を作るべきではありません。

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