- 導入される
- 導入されない
コロナウィルスの世界的脅威で日本でも経済の枠組みが危機的状況に置かれました。そもそもベーシックインカムとは「最低限の生活水準を保つための現金をすべての人に無条件で給付される」制度のことですが、日本で導入されるにはいくつかの課題をクリアしなければなりません。
しかしベーシックインカムの導入で得られるメリットも多く、経済学者や一部の政党でも推奨されその動向がますます注目されています。
導入のメリットとして挙げられるのが、いくつかの条件を満たして受給される社会保障とはちがい、すべての人に一律給付されるため公助による差別化をなくせるということ。所得制限を設けない公平な仕組みであるため行政コストも軽減できます。
しかし生活保護の捕捉率がイギリスやドイツと比べ断トツに低い日本では、受給資格があるにもかかわらず受給できていない「漏給」の問題も深刻化しています。一方で不当な手段を使って不正受給しているケースが後を絶たちません。ベーシックインカムはそういった不合理な点においても安心なセーフティーネットとして機能します。
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-06-03/2018060303_05_0.html
また日本では一定額の受給が持続化した場合の就労意欲の低下が懸念されていますが、フィンランドではすでに失業者2,000人に対し7万円の受給を年間行っています。その結果低賃金による就労意欲の低下に効果を発揮し、給与補填として生活面が安定し仕事の質を向上させるビジネスパーソンが増加しました。日本でもワーキングプアの解消が期待できます。
国民性や政治的背景にも違いはありますが、導入のメリットは多分にあるようですね。
例えば日本でもベーシックインカムが導入され、最低生活保障の7万円が一律給付されたらどうなるでしょう。すべての人対象であるため、世帯の人数が多ければ多いほど一世帯における受給額は増えるわけです。
そこでベーシックインカム導入におけるデメリットについても触れましょう。大きく3つの懸念が予想されます。
■そもそも財源はどこから捻出するの?
現在日本の総人口はおよそ1億2500万人。すべての人に受給する額は1年間で105兆円前後となります。財源を確保するには消費税の増額が必要かもしれません。さらには社会保障、税金からの捻出も考えられるため医療費にかかる保険料などを負担する企業にはデメリットです。
■働く意欲がなくなるかも
最低限の生活費が保証されれば働かなくてもいいと考える人も増えるでしょう。例えば夫婦共働きの家庭では妻が夫の扶養内で働いていた場合、月収が8万だとすると無理に働く必要がないと考える人が増えれば国内の労働力が加速度的に低下することが予想されます。
■すべての人が好きな仕事しかしなくなる
低賃金労働者の給与補填としては多くの働き手を救済するというメリットはありますが、家庭状況や価値観、環境面の違いからすべての人の就労意欲の向上につながるのは難しいでしょう。また生活が守られるため好きなことを低報酬でも始める人も増え、職種の偏りにより人気のない企業は雇用推進のための戦略が必要となります。
一見すべての人を生活困窮から救い上げる制度のようですが、現状はデメリットも多いですね。
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