- 禁止すべきだ
- 禁止しないほうが良い
タバコは禁止すべきです。
タバコは日本の経済を衰退させる要因の一つになっています。
確かにタバコ税による税収は約2兆1328億円あり、日本の大きな財源の一つですが、タバコによる医療費・火災・労働力の損失は最低でも4兆円以上という研究結果もあります。タバコは日本の財政を支えているどころか、消耗させているのです。
タバコの購入でタバコ会社にお金が入り、日本経済を回しているという論も正しくありません。近年、紙巻きタバコの販売量は20年前に比べて3分の1以下に減少。それに代わって普及しているのが加熱式タバコです。そのシェアはアメリカのPMI社が出している「アイコス」が7割、イギリスのBAT社の「グロー」が2割、日本のJTが出している「プルーム」はわずか1割となっています。つまり、今日本で加熱式タバコを買っても、日本の会社に入るお金は1割で、残り9割は外国企業に持って行かれているのです。これでは日本経済を回しているとは言えないでしょう。
また、タバコは吸っている当人だけの問題ではありません。
受動喫煙で吸い込むタバコの副流煙の発ガン物質「ニトロソアミン」は、喫煙者が吸う煙に含まれる量の52倍含まれているのです。自己責任で吸っていると言っても、その周りにいる人に大きな健康被害をもたらすのがタバコです。最近は喫煙室や仕切りでスペースを分ける「分煙」も多くなりましたが、これでも副流煙を完全に遮断することはできません。
これから社会保障の支え手が少なくなる日本で、これほどの損失を出すタバコをそのままにしておくことは日本経済に深刻な悪影響をもたらします。副流煙などで周りの人間に健康被害を及ぼすことはもはや公害と変わりありません。タバコは禁止すべきです。
タバコは禁止すべきではありません。
嗜好品を禁止することで大きな被害が出た歴史を人類は持っています。
その最たるものが1917年にアメリカで制定された「禁酒法」です。
当時、アメリカは飲酒を禁じるキリスト教の教えを守ろうとする一派が勢力を拡大し、これに加え、ビール産業を第一次世界大戦下で敵国だったドイツが独占していた為、国内世論が禁酒法の制定を後押しし1917年に「禁酒法」が成立しました。
始めは、憎き敵・ドイツのビールを叩き出せたことに国民は喜んでいたものの、次第に法律を破ってでもアルコールを飲もうとする人々が急増し、密造酒が横行。アル・カポネに代表されるマフィアたちが密造酒の製造で社会に蔓延るようになってしまいました。
当然、アメリカ政府もこの事態に対応しようとしたのですが、法律を守るモラルを失った市民に対し成す術がなくなり、禁酒法は1933年に廃止されました。
禁酒法廃止後も、アメリカには禁酒法時代に社会に定着した「法律を守るモラルの低下」とそれによる犯罪率の高さにいまだに苦しめられていると言われています。
このように「社会に害があると言って、安易に禁止にしようとすると、取り返しのつかない弊害を社会にもたらすことがある」ことを、歴史は語っています。
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶということわざもあります。今、我々に必要なのはタバコの禁止ではなく、タバコと共存する方法を模索することです。
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